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2021.07.29 [スタッフブログ]
物に宿った物語

どうしても捨てられないものはあるだろうか?
モノに宿った物語、第二弾

なぜか長年手元にある物、どうしても捨てられない物はあるだろうか?一緒に過ごした大切な物には時間と思い出が重なり合い、気がつけば自分の大切な一部となる。そして、そこに「物語」が刻まれる。

 


 

 

薄く色褪せたわら版紙の楽譜には一人の教師と生徒との出会いの物語が宿っている。

 

 

この楽譜の持つ主である尾坂様は松山市内で5人兄弟の末っ子として生まれ育った。太平洋戦争真っ只中の子供時代は、不安と恐怖におびえる日々であった。戦中戦後という大人も子供も必死に生きぬいたあの時代に、一つの希望を与えてくれたのがこの楽譜であった。

 

 (空襲後の松山市内)

  • 出典:総務省ホームページ 

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/daijinkanbou/sensai/situation/state/shikoku_03.html#pTop

 

昭和22年に新制中学校が発足し、尾坂様も入学することになる。そこで出会ったのがY先生だ。Y先生はドロップアウトしそうな生徒としっかり向き合い、希望を持ち生きることの大切さを時にぶつかりあいながら教えたという。「とにかく生きるのに必死な時代でした、人間らしい生き方が難しかった。やけっぱちになって刹那な生き方を選ぶ人もいましたね。だからこそY先生は私たちに希望を持つ生き方を知ってほしかったのだと思います。」

 

Y先生は勉学以外にも生徒に向け様々な取り組みをされていたそうだ。その一つが「全国唱歌ラジオコンクール」(現在のNHK全国学校音楽コンクール)への出場である。

「突然先生から‶参加するぞ”と言われて、この楽譜を渡されたんです。」Y先生の指導方法は、歌う楽しさを知ることを大切にしのびのびと歌うことに重点をおいていたという。

 

 

 

「結果は中伊予地区で2位でした、全国大会には出られなかったけど歌うことの楽しさを初めて知りました。何かに打ち込むことで充実感があり気持ちが楽になりました。当時の私たちにはどんな形でも〈希望〉が必要だったんです。この楽譜を見ると練習と当時の大会の事を今でも鮮やかに思い出します。」

 

その後もY先生との繋がりは続き、72年たった今も定期的に連絡を取り合っているのだという。「Y先生にとって生徒の教育は一生続く事だそうです。私は一生涯先生の生徒ですね。」

 

中学生だった自分に今ならどんな言葉をかけるかと聞くと、「人生というのは人との出会いで大きく変わります。出会いを大切に。それを伝えたいですね。」

 

 

出会いで人生は変わる、それは奇蹟。この楽譜が何よりの証拠だ。

 

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